キッチンハイターやカビキラーを用途以外に使ってもいいのか?壁紙 クロス 塗装面 塗り壁の壁や天井、布団やマットには使えないのか?

カビ取り防カビ対策専門業者の純閃堂です。

当店には毎日たくさんのお客様からカビ取りの相談があります。その中でキッチンハイターやカビキラーを壁紙や木材に使ってもいいですか?という質問があるので実際に起こった事例から回答します!

メーカーに確認した結果

まず花王株式会社(キッチンハイター)、ジョンソン株式会社(カビキラー)、大日本除虫菊株式会社(サンポール)のお客様相談室に問い合わせを行ったところ、「用途以外の使用はできません。」という回答でした。

次に動画サイト(YouTube等)に裏技的に使用方法が投稿されていることを伝えると「当社では推奨できないばかりか、安全性も保障できません。絶対に真似をされないようにお願いします。」という回答でした。

その証拠として大日本除虫菊株式会社(サンポール)↗のページではホップアップで注意喚起されていました。

各商品に設定されている「用途」とは?

上記サンポールの場合は塩酸9.5%を含有していてトイレ・トイレタイルの黄ばみ・尿石・水あかに使えるものです。塩酸は10%以上から劇物に該当するためサンポールはかなり強力なトイレ用洗浄剤(酸性タイプ)です。塩酸が苦手な素材(例えば大理石)には使えません。よって水拭きまたは水洗いできる場所限定です。

カビキラーやカビハイターは泡タイプのカビ取り剤できめ細かな泡がスプレーした部分にとどまりやすくできています。菌糸に有効な界面活性剤が含有されていて、操作も簡単なのでカビ取り掃除に適したカビ取り剤です。最終的には水で十分に洗い流すことから用途は浴室内のカビ汚れになります。

またキッチンハイター(またはハイター)の用途は漂白・除菌・消臭です。つけ置きをして最終的には水で十分に洗い流します。

家庭用品品質表示法では「台所用漂白剤」↗として定められていて、その定義は「主たる成分が酸化剤又は還元剤から成り、衣料品等の黄ばみ、しみ等を分解し、又は変化させて白くする化学作用を有するもの。」と記載があります。カビの場合は菌糸があるので浸透が必要です。

また塩素系・酸性系の洗剤には「まぜるな危険」の表示が義務付けられています。

このように「用途」は使用者の安全を考慮し、化学成分に詳しくなくても簡単に目的を達成できるように表示されているのです。逆に「業務用」にはここまで簡単な記載はありません。厚生労働省「職場の安全サイト」のエタノール↗を例に見ればわかりますが、ある一定の濃度を超えた化学成分にはこのSDSの交付が必要なのです。

これを一般の人が見ても理解に苦しむので、家庭用品品質表示法に沿って用途を制限しながら洗剤が作られているのです。


▲:水拭きって必要なの?とても大切な水拭きについてはこちら↗


稀麗/KIREI

大手洗剤メーカーが用途に合わせて様々な洗剤を販売しているのは、たくさんの法律が関連しているからかもしれませんね!

残った界面活性剤はカビが繁殖しやすい

毎日、洗濯機に衣類洗剤と柔軟剤を入れて洗濯しているのに「抗菌などの表示があるのにどうしてカビが生えるの?」と疑問に思ったことはありますか?界面活性剤はなかなか分解されない物質なのですが、最近の洗濯機は節水機能が良すぎて洗濯槽に残っている可能性があるからです。

そしてその界面活性剤に皮脂汚れ・タンパク質汚れが付着します。洗濯機に過炭酸ナトリウムを入れて洗浄すると白~茶色のワカメ状の汚れが浮いてきますが、これが界面活性剤と付着した汚れたちです。細菌とカビの栄養になるので増殖すると酸っぱい臭いや生乾きの臭いとして発生するので気付くことができます。

この現象は部屋の壁紙・木材・塗装・下地の壁などでも同様に発生します。

当店への問い合わせで、壁紙のベタっとした黒カビにカビ取り剤や漂白剤を使ったら、今度はふわふわした黒いカビが再発した。など類似の相談を受けることが多いです。そのため現場で水拭きをしたところ、その雑巾から泡が発生したので界面活性剤が残っていることが判明しました。

再発した予測ですが水拭きしても残ってしまった界面活性剤に部屋中のチリ・ホコリが付着して細菌・カビの栄養となったのでしょう。このようなことから各洗剤に書かれている「用途」はメーカーが使用場所に合わせて作っているので、決して意味のない表示ではありません。

化学成分とリスクを知っているプロなら用途を無視しても上手に使えますが、慣れていない人は「用途」に従って使用したほうが大きな失敗を避けられます。