カビ取り剤の水拭きって必要なの?/カビ取り侍の使い方と黒カビが除去される仕組み
水拭きの必要性と
強力なカビ取り剤の関係
お風呂で使ったカビ取り剤はシャワーで流せますが、部屋にカビが発生するとホコリやダニと混じるのでカビ取り掃除の難易度も上がります。
そして仕上げの水拭きとなれば重労働です。
今回はそんなカビ取り掃除の中でもお問い合わせで多い「部屋に発生したカビを取ったあとの水拭き」について解説していきます。
目次
本ページにはたくさんのカビやダニの画像がありますので苦手な方は注意してください。
- 結論
- 詳しく解説
- さらに詳しく解説
- 分解されないカビ・ダニ・ホコリ
- 強力なカビ取り剤ではダメなの?
- 強力な成分が残り続ける
- 水拭きの必要性
- 水拭きの6つの良い点
- 水拭きできない場合
- 防カビ剤が役立つ場所
- 塩素臭が残りやすい
- 最後に
■結論
お客様からのご相談で以下のような内容があります。
水拭きはしたほうがいいのでしょうか?
結論からお伝えすると、部屋のカビは水拭きをした方が良いことが多いので、できる限り水拭きしてください。
水拭きをするとカビの再発を防止して素材の傷みと変色を防ぎ塩素臭を軽減できます。
さらには防カビ剤の効果もアップするので水拭きはした方がいいでしょう。
以下にその詳細を掲載しているのでご覧ください。
■詳しく解説
カビは成長する過程で胞子を作り、菌糸を伸ばし、色素で素材に着色シミを作ります。
最初に成長したカビの周りに密集して育つので斑点状でホコリっぽい外見をしています。
ある程度の数まで増えると部屋中のチリ・ホコリが付着し、さらにカビ毒の悪臭でダニを誘発します。
以下の画像をご覧ください。
①は木目調ビニールシートで加工されたドアに生えた黒カビに対して、カビ取り侍強力タイプを使ったときの画像です。
②は15分後の画像ですがカビが溶かされていくのが分かります。
よく広告宣伝でみる「分解」という現象です。
③ではカビが十分に分解され、黒いシミ(色素)も漂白されましたが、なにやらホコリが付着しているように見えます。
この付着しているものはチリ・ホコリ・ダニの死骸・カビの死骸なので④では水拭きをして汚れを回収しました。
本ページではその様々な汚れを「カビのカス」と表現しています。
今回は偶然が重なったので「カビのカス」を目視出来ました。本来は壁紙や木材などの細かな隙間に隠れている目視できない小さなカスです。
水拭きをしない場合はこのカスが回収されずに残っているので、塩素臭が消えない状態になります。
さらにカビ取り剤の成分が自然分解すると、残ったカスはカビのエサになります。
そのため当店ではカビ予防のためにも水拭きをお勧めしています。水拭きできない場所の内容は以下に掲載しています。
上記の画像で水拭きの必要は十分に伝わったと思いますが、さらに詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
■さらに詳しく解説
冒頭でもお伝えした通りカビは胞子から育ち、タンポポのように胞子を作って、木の枝のように菌糸を伸ばして斑点状の集合体となって増殖します。
成長する過程で色素を作って自らを黒く染め上げた親カビが子カビに栄養を配りながら規模を拡大します。
ここで人間の目でも確認できるサイズになります。
その黒い色素が擦っても取れない頑固なカビになるのです。※カビによって色は違います。
※目に見えるほど成長すると、強烈なカビ臭を出しながら胞子を飛ばしてダニを呼ぶのでアレルギー品目に掲載される危険な状態になります。
分解されないカビ・ダニ・ホコリ
ではカビのカスが残ってしまった原因を追究していきましょう。
初めに、実は目視できるカビがすべて生きているわけではありません。
初めに成長した親カビは子カビに栄養を分けたいので古いカビほど生きていないのです。
子カビは栄養分(水分)が豊富なので、界面活性剤の作用が働いて除去できやすい特徴があります。
上記の画像では界面活性剤の浸透力+次亜塩素酸ナトリウムの分解・漂白作用で、子カビが黄色く分解されているのが分かります。
食器洗いで例えると「よく落ちる汚れ」の部分です。
そして最後まで残っている親カビは栄養分(水分)が少なく黒い細胞膜が残っているだけなので、乾燥してこびり付いた頑固な油状態になっています。
五徳や食器に付いた乾いた油汚れは落としにくいですが、カビの場合も界面活性剤の浸透が上手く働かないので、いつまでも成分が表面に付着しているだけの状態なのです。
※この現象によってカビが初めにどこから発生したのかが分かります。
ただしここからが他の洗剤と違う点です。
塩素系カビ取り剤の場合は分解できないカス(カビは除菌済み)に対して、次亜塩素酸ナトリウムの2つ目の作用である「漂白」で黒い色を白~透明にします。
以下のような工程が働いて結果的に透明に近いカス(カビ・チリ・ホコリ・ダニの混合物)が残るのです。
繰り返しますがエンボス加工のビニールクロス・コンクリート・木材・畳・ゴムパッキンなどでは、素材に入り込んでいるのでこの現象を目視することは困難です。
(例えば、浴槽下の排水口付近に発生した酷いカビ汚れにカビ取り剤を使って放置すると、透明になった分解されないヌルヌルとした湯あかが残ることがあります)
つまり水拭きをしないということは、食器に洗剤の泡汚れが付いたまま水で流さずに終わらせることと同じなのです。
人間の目には見えない汚れでも微生物からすると大きなエサとなります。
結果的にその残ったカスを栄養にて再びカビが発生するのです。
■強力なカビ取り剤ではダメなの?
ではカビ取り剤の濃度を上げればカスも分解されるのか?という疑問が残ります。
その解答は「次亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの濃度を上げれば分解されます」です。
ただし強いカビ取り剤を部屋の素材に使用すると、カビを強力に分解する代わりに代償を伴います。
例えば塩素系パイプクリーナーのように「溶かす濃度」を上げれば、カビのカスまで溶ける可能性もあります。
この画像は当店のパイプ洗浄剤クロッグパスですが、毒劇物取締法のギリギリまで溶かす成分を混ぜれば髪の毛も溶けてしまいます。
カビも数分間で取れることでしょう。
しかしこれを部屋の素材に使用すると、代償として素材が傷み変色してしまいます。
塩素系に強いビニールクロスでも変色してしまうことから、安易に強いカビ取り剤は使えません。
お風呂と違って部屋には塩素系に弱い素材があるので、ただ強いカビ取り剤を使うと大変なことになるのです。
強力な成分が残り続ける
そして濃度が高いと対象面に残留する時間も長くなります。泡立つものやジェル状のものはさらに長く残留します。
高濃度のまま残留するともちろん素材も傷みますが、予防のために使う防カビ剤の効果も減少してしまうのです。
そのため適度な濃度を維持しながら残留する成分を減らす必要があります。
このような理由からカビ取り侍は泡立ちを少なくして素材へのダメージを考慮しつつ、自然分解しやすくして防カビ侍の効果を発揮できるようにしているのです。
清掃業者でも強いブリーチを拭き取らない(または中和しない)業者がいますが、ブリーチで傷んだ素材や残ったカスにカビが再発してしまうので当店に防カビ施工の相談が来るのです。
水拭きの必要性
■水拭きの6つの良い点
これで水拭きが必要な理由のうち最も大切なことが判明しました。
それは「カビのカス(チリ・ホコリ・ダニの死骸・カビの死骸等)」が残っていて、カビ取り剤の成分が自然乾燥してなくなるとカビの栄養源になってしまうからでした。
塩素臭が消えない場合はこの汚れが残っていることもありますので水拭きしましょう。
そして水拭きには他にも以下のようなたくさんの良い点があります。
- カビの栄養源を取り除ける
- 塩素臭を素早く消臭できる
- すぐに安全性が高まる
- 素材の変色を回避できる
- カスによる悪臭を防げる
- 防カビ侍の効果が期待できる
例えばビニールクロスや木材塗料は劣化するとカビの栄養になる可塑剤や接着剤などのべた付く成分が出てくるので、カビ取り侍のあとに水拭きすると化学成分まで回収できます。
※化学成分でべた付いた壁紙に貼り付いたホコリ「E:壁紙のカビ↗」
せっかくカビ取りをしたマットレス・カーペットや畳もカス(カビの他に汗・皮脂・ペットの排泄物等)が残ったままだと、せっかくカビ取りしたのに意味がありません。
そのため洗濯機で洗濯できるものは丸洗いしてしまいましょう。
しかし場所によっては水拭きできない場合もあると思います。
■水拭きできない場合
上記のような良い点があっても部屋の構造や素材によって水拭きできない場合があります。
- 塗り壁のため水拭き不可
- 材質的に水を吸ってしまう
- ザラザラで水拭きできない
- 天井や床下で手が届かない
このような事情により水拭きできない場合は、換気状況が改善されない限りカビが生えやすい条件は変わりません。
残ったカビのカスが栄養になるのを防ぐために防カビ侍をお使いください。
そもそも防カビ剤の役割は、カビのカスが処理できなくても効果を発揮できるように作られていますので以下をご覧ください。
■防カビ剤が役立つ場所
カビは換気不十分で多湿のときに異常発生します。
カビ取り剤を使っても換気状況が改善できないときは次のカビが生えやすいので防カビ侍を使いましょう。
水拭きできないときも同様です。
残ったカスがカビのエサになることを防ぐために防カビ剤で予防・対策をしましょう。
繰り返しますが一度でもカビが発生した場所は次のカビも生えやす場所ということを忘れてはいけません。浮遊している胞子が付着すればすぐに再発します。
防カビ剤はその湿気と栄養があってカビが住みやすい環境を「湿気と栄養があってもカビが生えにくい環境」に変えることができます。
自然界では大人しいカビ菌も人間が住む場所では異常繁殖するので、家族と家の健康が損なわれる前に大切なものを防カビコートで守りましょう。
以下のページに防カビ侍の仕様が掲載されていますのでご覧ください。
M:カビ予防の商品を探している
主に部屋のカビ予防・対策を目的としている方が参考とするページです。防カビ剤を使うべきタイミングと場所を掲載しています。※お風呂は対象外です。
一度でもカビが生えた場所は次のカビも生えやすいので防カビ剤で守りましょう。
部屋の換気状況が改善できる場合は、防カビ剤を使わなくてもカビが生えなくなることもありますのでまずは風通しがいい部屋を目指しましょう!
■塩素臭が残りやすい
また水拭きができないときに起こる問題は塩素臭です。
濃度の強いカビ取り剤+酷いカビ汚れの条件が揃うと強く発生しますが以下詳細をご覧ください。
カビ取り侍をかけ過ぎてしまうと、マットレスや敷布団の奥まで成分が浸透してしまうので長期間塩素臭が続いてしまいます。
使い方(使用方法)に記載されている通り「かけ過ぎないようにスプレー」してください。そして水拭きをします。
塩素臭がする理由は「敷布団の内部にカビやダニが残っているとき」「皮脂や汗の汚れに反応しているとき」など【カビを含む汚れ】が関係しています。
酷く汚れていると塩素臭の原因成分である次亜塩素酸ナトリウムの反応する(pH値が下がる)ので、安定性が崩れて塩素臭が発生するのです。
よって塩素臭を早く消す方法は以下の5つです。
- 水拭きをして、成分が蒸発しやすいようにする。
- 冷水ではなく温水(40℃付近)で拭いて蒸発を早める。
- 水拭きしたのち、直射日光に当てる。
- 扇風機などを当てて素早く乾かす。
- プロ向け:500~1000倍に薄めたクエン酸で中和する。
この中で塩素臭を素早く消臭できるものはクエン酸ですが、「まぜるな危険」に記載されている通り強烈に反応するのでプロ専用です。
■最後に
インターネット上には漂白剤やカビ取り剤に関する記事がたくさんあります。
上記の内容をすべてご覧になった方はもうお分かりかと思いますが、このようなネット投稿も間違いではありません。
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カビ取り剤はカビを漂白しているだけですか?
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カビ取り剤には「分解している部分」と「漂白している部分」があるのです。そのため漂白しているという回答は間違いではありません。
漂白した部分はカスが残っているので水拭きして回収しましょう。
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漂白剤でカビ取りできますか?
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これも間違いではありません。
しかしカビ取り剤にはカビ取りに合う界面活性剤+補助剤が使われています。漂白剤にはしみ抜きに合った界面活性剤+補助剤を使っています。
商品ラベルに記載されている通り、用途以外で使用すると取り返しのつかないことになるのです。
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大手のカビ取り剤だとカビが取れないと聞いたのですが…
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カビ取り剤なのでカビは取れますからご安心ください。ただし用途をしっかりと読んでからご使用ください。
カビキラーやカビハイターではカビの「核」が残る…や、菌糸が除去されない…などの記事を見かけますが「嘘」なのでご注意ください。
ただし取れない理由の一つとして保管期限があります。
次亜塩素酸ナトリウムは水道水にも含まされていますが自然分解しやすい成分です。この成分を主成分としているカビ取り剤や漂白剤を長期間保存(平均2年間)していると自然分解して洗浄効果が下がってしまいます。
浴室洗剤のようになってしまうので、カビ取り剤は用途に合わせて「出来立て」を購入したほうがいいでしょう。
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カビ取り剤の値段が異なる理由は?
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カビ取り剤の値段が異なる理由は「主成分の濃度」「界面活性剤」「補助剤」が異なるからです。例えばカビ取り侍は浴室以外の壁紙、塗装面、布生地製品のカビを除去して防カビ侍の効果が出やすいような成分を選んでいます。
また強いカビ取り剤はスプレーボトルも耐久性があるもの(溶けないもの)を使うので値段が変わります。
いかがでしたでしょうか。
カビ取り掃除のあとに水拭きをするのは大変な作業かと思いますがたくさんの良い点があるのです。
次のカビが生えることを予防するためにもカビ取り掃除のあとは水拭きをしてください。
当店はカビ専門のエアコンクリーニング、カビ取り・防カビハウスクリーニングをしている会社なのでカビに関わるBLOGを更新しています。カビ問題に直面したらいつでもご覧ください。
今後とも純閃堂(JUNSENDO/じゅんせんどう)を宜しくお願いします。
分類:水拭き、塩素臭、カビとは?、カビが生える理由、カビ取り剤の仕組みと成分、防カビ剤の仕組みと成分